「2021年の礼拝出席者は、再び教会に戻ってくる場合、コロナ禍により1年以上の空白で作られた精神的ショックと分裂という重荷を背負うことになるだろう」
今年3月、アイオワ州のアンドリュー・シュミット牧師=写真=は、新しいメンバー、幼児洗礼の子を歓迎し、祝福を祈るために両腕を広げながらステージから会衆へ涙を流した。教会は「マスク必須派」と「マスク任意派」に分かれてはいたが、礼拝堂の390人は「ほぼ平常通り」と見ていると、彼は言う。
「ちょっと待ってください。私たちは以前と同じ状態に戻ろうとしたのではありません」
彼は、人口7千人のノックスビルの町で一番大きなセレブレート教会のリーダーたちに呼び掛けた。「我々にとって、何がコロナ以前と違っているのか?」
ワクチン接種の浸透により、ソーシャルディスタンスやマスク着用についての規制がより緩やかなものになってきて、アメリカでは多くの集会が通常通りの実施に戻ってきている。しかし、元のあり方に急いで戻ろうとしない人々もいる。以前の状態に「戻る」のではなく、どのように、なぜ集まるのかを考え直すことを選び取るようになった。
ピュー・リサーチ・センターによると、今年1月時点で4分の3の教会が礼拝を再開したと答えているにもかかわらず、米国内で半数弱の現住陪餐会員が、個人的な礼拝にシフトしたと回答。礼拝出席者は増えているが、オンライン礼拝に慣れ、あるいは他の教会礼拝もまとめてチェックするようになっている。
ブリンハムのレディーマー共同教会の長老で、近々出版される『教会の再発見――なぜキリストの体は大切か』の共著者であるコリン・ハンセン氏は言う。「私たちは、なぜわざわざ集うのか、初めから教えなければならない。牧師たちは教会員が戻ってくることを当然のこととして考えているので、どれだけ多くの人々が現行のビジョンをまったく考えもしなかったことに驚くと共に、どれだけ多くの人が二度と教会に戻らなくなってしまったのか、に驚いている」
喫緊の課題――コロナ禍になる前から全世界に広がっていた問題でもあるが――は、人々が自己満足ではなく、信徒の参加を必要とする共同体として教会を見るようにすること。「たいていのアメリカ人が地方教会に抱く感覚は、より交流的になったが、通う頻度はどんどん減少している」と、バルナグループの社長であるデビッド・キナマンは言う。「この1年半、クリスチャンはどのように出会うかは変わらなかったが、彼らの教会に対する心や思いは変えられた。3分の1の能動的クリスチャンが教会から離れ、昨年は29%の主任牧師が辞めることを深刻に考えていると言っていた」
「教会のリーダーたちは、彼らが従来から知っていたやり方に立ち返ろうとしている。一方、一般の人々は、この分裂が彼らの習慣や教会の役割と妥当性に関する視野を変えた。教会と社会の間のギャップは、コロナ後の世界で私たちが教会を再度建て上げるにつれて、大きくなり続けている」
アメリカでは戦争や災害など多くの危機に際して、少なくとも教会共同体はまとまることができた。しかし2020年、クリスチャンはコロナウイルスの脅威に直面し、同時に国の政治的・民族的な緊張にも直面すると、典型的に頼る霊的実践からはかけ離れてしまった。
本記事は「クリスチャニティー・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。翻訳にあたって、多少の編集をしています。
出典URL:https://www.christianitytoday.com/ct/2021/july-august/church-after-covid-pandemic-trauma-tension-healing-together.html