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イラクを司牧訪問中の教皇フラランシスコは訪問2日目 の3月6日を迎えた。バチカン・ ニュースや同行記者たちによると、教皇は早朝、 バグダッドから約160キロ南のナジャフを訪れ、イスラム教シー ア派の最高権威サイード・アリ・シスタニ師(90)=写真 =と会談した。
会談はシスタニ師の自宅で行われた。公の場にシスタニ師が姿を現 すことはほとんどなく、報道関係者の会談場所への入場は認められ なかった。シスタニ師側の発表では、同師は、イラクのキリスト教徒は他の市 民と同様に平穏で安全な生活を送り、 憲法における権利を保障されるべきだと述べた。
他宗教指導者らとの交流を積極的に進めている教皇は、バングラデ シュやモロッコ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)など、イス ラム教徒が多数派を占める国でスンニ派の指導者らと面会してきた 。一方、シスタニ師は世界に約2億人いるシーア派の大多数から支持 されている。イスラム教徒の中では少数派のシーア派だが、イラク では多数派で、シスタニ師は国内で多大な影響力を持っている。
会談後、教皇はさらに南方のナシリヤに移動。そこから約24キロ 郊外のウル遺跡に向かった。ウルは、かつてメソポタミア南部に位置した古代都市。旧約聖書の 「創世記」には「カルデアのウル」と記され、父祖アブラハムの生 誕の地とされている。遺跡の一角で、イスラム教スンニ派やヤジーディ教、ゾロアスター 教など諸宗教指導者たちとの親睦会が行われた。親睦会では、 創世記やコーランの1節が朗読された。
教皇はあいさつの中で、アブラハムが生まれ、神の声に従い旅立ったこ の場所から、共にアブラハムを父祖として尊ぶ、ユダヤ教、 キリスト教、イスラム教、そして他の宗教の人々が、 互いを兄弟姉妹として、アブラハムと同じように天の星を見つめな がら、平和の道を共に歩んでいけるようにと、呼びかけた。
真の宗教性とは、神を礼拝し、隣人を愛すること、と述べた教皇は 、今日の世界はしばしば神を忘れ、その誤ったイメージを与えよう とするが、神を信じる者は、兄弟愛を通して、 神の愛と父性を証しするよう招かれている、と語った。また、教皇は、神はいつくしみ深い方であり、神の名のもとに兄弟 を憎むことは、最も冒涜的なことである、と話した。
イラク北部でテロによって破壊された教会の修復を、イスラム教徒 のボランティアの若者たちが手伝ったエピソードを思い起こされた 教皇は、このような暗い闇の時にも星は輝いている、と話し、すべ ての聖なる場所が皆の平和と出会いのオアシスとなるよう、父祖ア ブラハムの助けを願った。天はわたしたちが歩むべき道として、平和の道を示している、と教 皇は強調しつつ、人類家族がすべての子らを受け入れ、同じ天を見 つめ、同じ地平を平和のうちに歩んでいけるようにと祈った。
教皇は、同日午後、バグダッドに戻り、カルデア典礼カトリック教 会のカテドラルでミサを捧げた。8日までの同国滞在中、過激派組織「イスラム国」2014 ~17年に支配した北部モスルや、「イスラム国」の標的となった キリスト教徒の町カラコシュを訪問し融和を訴える。(CJC)
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