今年1月末にアメリカから日本に上陸し、国内でも爆発的に利用者が増えている音声SNS「クラブハウス(clubhouse)」。キリスト教関係者の間でも、教派を超えて牧師が共通の聖書箇所を黙想したり、礼拝の説教音声を同時配信したりするなど、さまざまな活用法が試みられている。
新しい宣教ツールとして大きな可能性を秘める一方、「慎重さも必要」との声も聞かれる。日本フリーメソジスト桜井聖愛教会牧師の大澤恵太氏=写真右=は2月末、「一度立ち止まって、クラブハウスの課題の側面に光を当てながら、特に信仰を守るという視点で、どのようにしてクラブハウスと向き合い、そこでどのように振る舞うべきなのかということを考えてみたい」とSNS上で問題提起を行った。
同氏は「誰でも適用可能な規範を作ることは難しく、最後は『自分はどう考えるか』ということが大切」「互いが互いの違いを受け入れ合いながら、その中で互いを思いやりながら、一人一人が配慮して行動することによって、皆で築き上げていかなければならないもの」とし、「福音主義」的な立場から「全能神」などの異端や「終末に関する危機感を煽り立てて人々を動かそうとする動き」への警戒を呼び掛け、「信仰の土台やスタイルの違いにつまずいたりすることのないように、自分はどこに立って、何を大切にして信仰生活を歩んでいるのかということを明確にしていること」が重要だと指摘。
インターネット上に情報があふれる中、「私たちの信仰が、あるいは私たち自身が、危険にさらされることのないように、立つべきところにしっかりと立ちながら、……新しいフィールドでの倫理を共に築き上げていきたい」「戦う相手を間違えてはいけない」「対決ではなく対話をするというクールさを」とユーザーに呼び掛けた。
さらに「全世界規模でどのような人ともフラットに会話をすることができる、あるいは会話を立ち聞きすることができる」クラブハウスの特徴を生かすことで、「クリスチャン同士で互いに励まし合える機会を持つこと」「クリスチャンではない方々が福音に触れる機会を作ること」「クリスチャンではない方々の生活に寄り添うトピックを掲げることによって、教会への敷居を低くすること」もできると期待を込めた。
大澤氏が提起した、クラブハウスで具体的に気を付けるべき点は以下の通り。
●どのように気をつけるか
・クラブハウスのルールに沿った使い方を心掛ける
・プロフィールは雑にしない(クラブハウスでの自己PRの手段は、プロフィールと生の会話のみ)
・フォローフォロワーの数をむやみに増やそうとしない
・フォローする時にはその人のプロフィールや会話の内容を確認する
・ブロック機能は危機を感じた時に使う(クラブハウスのブロックは分断の連鎖を生みやすい)
・クラブハウスで自分の教団教派や教会や他の教会の批判をしない
・クリスチャンのルームをみんなで協力して盛り上げる
・集会への勧誘などには気を付ける
・できるだけ複数の人と他のルームなどの情報交換をする
・自分にとってのネガティブな情報はスルーする
・部屋を開く際にはトピック(タイトル)の付け方を工夫する
・スケジュールを組んで部屋を開く際は説明を明確に
・公開設定をうまく利用する
・クラブハウスに熱中しすぎるなど、証しにつながらない使い方に気をつける
付録:クラブハウスが提示しているルール(英語の内容を日本語で要約したもの)
・必ず本名を使用し、自分を偽って提示してはならない
・18歳以上でなければならない(国がそれ以上を要求する場合はそれに従う)
・いかなる個人またはグループに対しても、虐待、いじめ、嫌がらせをしてはならない
・いかなる個人やグループに対しても、差別、誹謗中傷、脅迫をしてはならない
・許可なく他人の個人情報を共有したり、それを強要したり、煽動したりしてはならない
・許可なくクラブハウスで得た情報の書き起こし、記録、複製、共有をしてはならない
・知的財産権またはその他の所有権を侵害するような行為をしてはならない
・虚偽の情報やスパムを拡散したり、情報を人為的に増幅または抑制したりしてはならない
・未成年者や未成年者の団体に危害が及ぶ情報を共有したり宣伝したりしてはならない
・このサービスを不正または違法な活動を目的のために利用してはならない