律法全体は、「隣人を自分のように愛しなさい」という一句によって全うされるからです。
ガラテヤの信徒への手紙5章14節(参照箇所同書4:28〜5:15)
パウロは、律法は元来神の御心を表わすものであることをよく知っていました。彼は、これが「隣人を自分のように愛しなさい」というレビ記19章18節の言葉に凝集されているとして引用したのです。
ルターは、これについて言います。「『隣人を自分のように愛しなさい』とは短かすぎて、理性は言葉の軽さと少なさにつまずく。・・・これは信仰と愛についての最短かつ最長の神学である。最短というのは言葉と文章についてである。しかしその用法と事実においては全世界よりも広く長く深く高い」。
愛は神の本性に関わることです。福音によって生きる者は、誰一人これを疑いません。信仰者が、この地上にあって神の愛のお裾分けにあずかり、隣人のためにその愛を分かち合っただけで、どれほどの喜びと希望をもたらすことでしょうか。愛はすべてに優る薬であると言われるほどに、ほんの少しの愛がこの地上では貴重な働きをします。
愛は神から来たものでないなら、そのような働きはしません。ルターが、「(愛は)その用法と事実においては全世界よりも広く長く深く高い」と言うのが、理屈なしにうなずけます。(ルターの引用は徳善訳ガラテヤ書大講解から)