あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神。
ルツ記1章17節(参考箇所同書1章1〜18節)
ルツはモアブの女でしたが、ナオミの息子と結婚したのでした。やがてナオミの夫も息子たちも死んだのでナオミは故郷のユダに帰ることになりました。ルツにとっては異邦の地であり、ナオミはルツにモアブの地にとどまるよう勧めますが、ルツはナオミと共にすること強く願うのでした。
ルツ記はイスラエルと異邦人の融和を意図して書かれたといわれますが、単に友好関係の樹立というより信仰面での融和を意図していることがこの個所から理解できます。
このルツの「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神」という告白は、ルツがモアブ人であることを捨て、これまでの信仰からユダヤ人の神を進じる信仰へと改宗したのであるということもできます。しかし、この告白は異邦人がユダヤ人に同化したとする以上の意味をもっています。ルツは異邦人モアブの女であるというアイデンティティーを失っていません。「わたしの民、わたしの神」という表現は、彼女の民族のアイデンティティーの所在を明らかにするものです。
その点では、ここに意図された意味は、聖書の神は異なる民族、異なる宗教のアイデンティティーを認めつつ、それを包み込む寛容性を表明するといえます。