4月10日 使徒言行録1章9節

イエスは彼らの見ているうちに天に上げられたが、雲に覆われて彼らの目から見えなくなった。
使徒言行録1章9節(参考箇所同書1章6〜11節)

復活されたキリストは地上で弟子たちと生活され、生きて働いておられることを示されました。使徒言行録は、復活後四十日経って、天に上られたと記しています。いわゆる昇天の出来事です。

わたしたちは、時々「福音を知らないで死んだ人はどうなるのか」とか、「キリスト以前に生まれた人は救われるのか」といった素朴な問い掛けをすることがありますが、これらの質問は当然持つ疑問で一面において重要な問いなのです。なぜならこれらの問いは、人間と同じようにキリストも時間と空間の中で考えようとする思いがわたしたちの心のどこかにあることを示すものです。

考えてみれば、十字架の出来事も復活も地上の出来事です。時間と空間の中で起った出来事です。これらは福音の中枢を成す重要な出来事ですが、もし、そこだけでキリストの働きが完結するとすれば、過去のことになってしまうでしょう。聖書が昇天の出来事を告げるのはキリストが時間と空間を越えるお方であることを明らかにするのであって、キリストは何時の時にもどこであろうとも御自身のわざを完成される方であることをわたしたちに教えているのです。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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