神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ。
マルコ3章35節(参考聖書箇所同書3章31〜35節)
ある青年が教会の中の人間関係があまり良くないのを見て、「教会では兄弟姉妹というが幻想にすぎない」と言ったところ、それを聞いた一人の老婦人が「あなたは聖書を読んでいない」と厳しく言われたことがありました。
愛と信頼を基盤にする肉親の関係は、いざというときに頼りになるものです。その意味で家族を大事にしないわけはありません。この青年にとって教会の中に肉親の家族を思わせる表現を当てはめても、現実の教会の中の人間関係と食い違うことに幻滅を感じたのでしょう。
有名な神学者ボンヘッファーは、「教会は心理的な理想体ではなく、霊的現実である」(交わりの生活)と言います。教会の現実は人間関係で成り立ちます。人間ほど多様な存在はありませんから、摩擦もあれば、ひずみも生じます。その意味では、けっして家族のように頼りがいのある人間集団とは言い難いところもあるでしょう。
にもかかわらず、主イエスは「神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ」と言われるのです。ボンヘッファーが教会は霊的現実であるというのは、教会こそは神の御心を行う人々の集団であるからです。