欲望から欲望へのはてしない物語【聖書からよもやま話368】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、ヨブ記の20章です。よろしくどうぞ。

ヨブ記 20章20〜21節

彼の腹は満足することを知らないので、
欲しがっている物を、何一つ逃さない。
彼が食べるためのものは何も残っていない。
それゆえ、彼の繁栄は長くは続かない。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

人の欲には際限がないものでございまして、僕もまた例に漏れず、ラーメンを食べたら次の食事にはハンバーガーが食べたくなり、ハンバーガーを食べたら次の食事にはカレーを食べたくなり、時には同時に食べちゃったりなんかしても、やっぱりすぐに他の何かが食べたくなり・・・と、いつまで食べてもせいぜい「その場しのぎの満足」しか得られないものです。

お金に対してだって同じようなもので、10万円欲しいと願って10万円が与えられれば、次は20万円欲しいと思い、20万円が与えられれば次は100万円欲しいと思い・・・と際限なく欲しがってしまいます。「這えば立て、立てば歩めの親心」を欲望に対してもやってしまい、欲望をすくすくと育ててしまっているのが僕たち人間の隠さぬ姿なのかと思います。

もし、この世の栄華を極めて、欲しいと思う物をすべて手に入れて、世界のあらゆる美食を食べ尽くしたとしても、きっとやっぱり欲望はすくすくと育ち続けるのでしょう。しかしそんな時には「まだ食べたことのない美食」を探すだけでも一苦労でしょうし、そうなったら「その場しのぎの満足」さえも得られなくなってしまうのかもしれません。

ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』の主人公バスチアンは、自分の望みを次々に叶えてゆきますが、望みを叶えるたびに自分を失ってゆき、やがては自分が誰であるかもわからなくなってしまいました。10歳くらいの頃に読んだ本ですが、その展開はとても衝撃的で、「望みを叶える」ことには危険も伴うのだということを胸に刻んだ覚えがあります。

中国神話には「トン(けもの偏に貪る)」という怪物が出てくるそうですが、それは常に飢えていて、周りにあるあらゆる物を食べ続け、ついには世界を食べ尽くし、それでも満足せずに自分を食べ、最後に残った自分の口まで食べ尽くしてしまうのだそうです。まさに人間が欲望に振り回される姿そのものです。仏教でもこの「貧(トン)」は人の心の三毒「貪・瞋・痴」の筆頭に挙げられています。聖書にだって十戒に「人の家の物=自分の物ではないものを欲しがってはならない」と書いてあります。人間の、欲しい物を貪る性質はまさに手に負えない代物なのでしょう。
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「欲しがりません、勝つまでは」と言えば、日本の軍国時代のスローガンとして有名ですが、戦争は論外としても、あれやこれやと欲しがっているうちは人生の苦難に勝つことは難しいのかもしれません。欲しがらないことが人生の究極の奥義なのかもしれません。諸氏百家の老子は「足るを知れ」「無為自然」と教え、仙人は食べ物さえも欲しがらず霞を食べて生きるとも言います。欲しがることが最後は我が身を滅ぼすというのは、洋の東西を超えて、人類に与えられた戒めなのだと思います。

近頃、そんな自分をほんの少しだけ戒めてみようかと、毎日の食事を質素なものに変えてみました。あれやこれやと食べようとせず、ごはん・みそ汁・納豆か焼き魚に漬物くらいのメニューを基本的に毎食続けています。すると意外と「あれも食べたい、これも食べたい」という気持ちが薄くなってきました。もちろん時々は外に出て他のものを食べることもありますが、家に帰ればまたいつものメニュー。そしてそれが一番落ち着くようになりました。欲望に対しては「戻るところを持ち、日常的にそこに戻る」ということが上手に付き合う一つのコツなのかもしれません。「いつもの場所」に戻ることをせず、欲望から欲望に渡り歩いてしまっては、「はてしない欲望の旅路」が始まってしまいますから。

とはいえそれでも、すると今度は「いい茶碗が欲しい」とか「いい醤油を使ってみたい」とか、そんな新しい欲望が生まれてしまう、どこまで行っても罪深い僕なのでありますが。やっぱり最終的には「神様に祈る」これしか自分の欲から脱する道はないのかと思います。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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