教皇フランシスコ、2019年に来日へ 外相バチカン訪問

 

河野太郎外務大臣はバチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、23日午後6時10分(日本時間24日午前2時10分)から約40分間、ポール・リチャード・ギャラガー・バチカン外務長官と日・バチカン外相会談を行った。

河野太郎外相(左)とポール・リチャード・ギャラガー・バチカン外務長官=23日、バチカンで(写真:外務省提供)

教皇フランシスコが2019年に訪日する意向を表明したことを河野外相は歓迎し、「日本政府としてその実現に向けて協力を惜しまない」と語った。両外相は、教皇の訪日実現に向けた協議を行うとともに、双方の大使館などを通じて引き続き緊密に協力しながら準備にあたっていくことを確認した。

教皇フランシスコは今年9月12日、バチカンで宮崎市の一般社団法人「天正遣欧使節顕彰会」の関係者と面会した時、「皆様のご訪問を機会に、来年2019年、私が訪日を望んでいることをお伝えさせていただきます。この願いが叶(かな)えられることを期待しましょう」と述べた。教皇が訪日の時期に言及したのはこの時が初めてであり、これは全世界で報道された。

フランシスコ教皇(写真:Jeffrey Bruno)

1981年、当時のローマ教皇、ヨハネ・パウロ2世が日本に初めて訪問したが、教皇フランシスコの日本訪問が実現すれば38年ぶりとなる。

会談後、臨時会見が行われ、記者から具体的な時期などについて質問されると、「これから時期その他についてはしっかり調整をしていきたいと思っております。法王(教皇)に訪日の強い希望があるということで、ぜひ日本でお迎えをしたい、歓迎したいということは申し上げました」と河野外相は答えた。

会談ではまず、昨年1月に訪日したギャラガー長官が、その時の歓迎に対して感謝を述べるとともに、「国際社会において日本が一貫して果たしている積極的な役割を高く評価する」と述べた。また、北朝鮮情勢に関して意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認。その他の地域情勢などについても意見交換を行い、国際社会が直面する諸課題について日本とバチカンがいっそう緊密に連携していくことで一致した。

河野太郎外相(左)とピエトロ・パロリン・バチカン国務長官=23日、バチカンで(写真:外務省提供)

その前に約15分間、河野外相はピエトロ・パロリン・バチカン国務長官を表敬し、日バチカン関係の歴史や、日本におけるカトリック教会の活動について意見交換を行った。

河野外相は「第4回地中海対話」(イタリア外務・国際協力省、イタリア国際政治研究所主催)に出席するためイタリアのローマを訪れた際、イタリアやバチカンの要人と会談をし、この日・バチカン外相会談も行われた。

安倍晋三首相が2014年6月6日、バチカンで教皇と会談し、「隠れキリシタンの存在が明らかになってから来年で150周年。こうした節目にぜひ来ていただきたい」と呼びかけた。また、自らのフェイスブックにもこんな投稿をしている。「ローマ法王 フランシスコ法王にバチカンで謁見させて頂きました。貧困問題にも熱心で、弱者に寄り添う姿勢を大切にしている方です。東日本大震災3周年にもメッセージを寄せて下さいました。アフリカの開発への支援、全ての人が能力を発揮できる社会の実現、国際情勢など幅広い課題について、意見交換をおこないました。また、17世紀にローマを訪ねた支倉常長の肖像画などを贈呈させて頂きました」

昨年5月3日には広島県の湯崎英彦知事が、11月15日には松井 一實広島市長も一般謁見(えっけん)に参列し、田上富久長崎市長との連名で被爆地訪問を要請してきた。教皇に広島と長崎に来てもらって祈りをささげることや、東日本大震災の被災者を激励してもらうことなどが期待されている。

教皇は今年1月、原爆投下後の長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」(ジョー・オダネル撮影)の写真をカードに印刷して全世界で配布したり(カード裏面に教皇の言葉と署名がある)、6月に大阪大司教区の大司教だった前田万葉氏を枢機卿に親任したりしたことも、訪日に向けた下地づくりではと言われている。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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