ミロのヴィーナスの失われた両腕が持っていたものは禁断のリンゴ?

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◆1820年4月8日 ミロのヴィーナスが発見された日

ミロのヴィーナスは1820年の今日、エーゲ海のミロス島で、小作農だったヨルゴス・ケントロタスという人によって発見されました。制作されたのは紀元前130年頃とされています。ヨルゴスさんからトルコ政府の手に渡り、それをフランス海軍の提督が見て買い取り、ルイ18世にプレゼントされ、ルイ18世がルーブル美術館に寄贈し、そして今もルーブル美術館にあります。

さて、ミロのヴィーナスといえば両腕がない姿でおなじみですが、実は元々は両腕ともあったそうなのですが、その両腕がどんな造形だったのか、まだわかっていないそうです。しかし、一説によると「黄金のリンゴ」を持っていたのではないかと言われています。

この像のモデルになったのはギリシア神話に登場する女神アフロディーテで、彼女には「黄金のリンゴ」にまつわるこんなエピソードがあります。簡単に説明すると、神々の集まりに「一番美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴが投げ込まれ、アフロディーテとヘーラーとアテナの三女神が「私こそ一番美しい!」と、このリンゴを取り合い、そこから人間界をも巻き込んでトロイア戦争が起こった、というものです。

キリスト教で「リンゴ」といえば、アダムとイブが食べた禁断の実が思い浮かびますが、実はこの実がリンゴであったとは聖書には書いてありません。しかし多くのキリスト教絵画ではこれをリンゴとして描いています。この理由については諸説あるのですが、キリスト教が誕生したのはギリシア語圏ですから、当時の人々はギリシア文化の影響を受けていました。「禁断の実」が「リンゴ」のイメージになったのも、この「黄金のリンゴ」のエピソードの影響があるのかもしれません。

ちなみに「黄金のリンゴ」というのは、一説ではオレンジのことだそうです。昔の人はどうも果物を「リンゴ」とか「梨」とか「みかん」とかあまり区別せずに呼んでいたようなのです。今よりも流通も発達していませんから、人々が口にできる果物も地域によってかなり限られていて、あまり区別する必要もなかったのかもしれません。

それではまた明日。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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