【くめさゆりのDAY BY DAY】第5回 『聖書の中のおいしいもの』久米小百合

朝晩は少しだけ涼しくなってきましたね。
空の色、木々を揺らす風にも秋の声を聞く夕暮れ、どこからともなく香ばしい匂いがしてきます。おいしい匂いの元をたどったら、ご近所のお庭のバーベキューでした。コロナ禍でステイホームされているファミリーが多いので、以前より家族そろって食卓を囲むようになったとか、これまでは仕事で遅いパパ不在のご飯だったけど、コロナショックのおかげでパパが料理の腕をふるってくれるようになった、などなどコロナのおかげでほぼ強制的に家族団欒(だんらん)になってしまった(苦笑)というお話もよく聞きます。

これからの季節、おいしいものも出回りますよね、本当ならちょっと遠出をして旅先での逸品なんていうのも優雅ですが、今年はGo Toも極力控えておられる方がほとんどだと思います。我が家も毎年暑い夏は我慢して、季節も良く旅費もちょっとだけプライスダウンしてくる秋の半ばを狙って、小さな旅に出ていたのですが今年はまだどこへも行けません。その分日々の食卓で冒険!新しいレシピに挑戦したり、旅先で食べたエスニックな料理を見よう見まねで再現したりして楽しんでいます。

画像:写真AC

実はエスニック料理の原点とも言える食材は聖書の中にいっぱいあります。先月号にも書かせていただいたのですが、ハーブやスパイスは旧約聖書の十八番と言ってもいいくらい、まるでデパ地下のスパイス売り場にいるような気分です。また聖書で「油」と言ったら全部オリーブオイルのことだったんですね!このことを教えてくれたのは「食べ物からみた聖書」(河野友美著 日本基督教団出版局)という本で、私が30歳を目前に神学校に入学した年に主人から贈られた一冊なんです。少しでも聖書が面白く読めるようにという老婆心だったようですが、、、。この本のおかげで堅苦しいと思っていたキリスト教の聖典が、私にとっては心身にとってのグルメな一冊に変わりました。

とにかく聖書の香りは強烈です。レバノンの香柏と詠(うた)われる月桂樹、クミン、マスタード、コリアンダー、いのんど(ディル)、ミント、シナモンなどなど、どことなく甘くてスパイシーなカレーのような香りが漂ってきませんか。そこにオリーブオイルの登場です、食用だけでなく医療用、灯火用、化粧品、祭儀用として生活に欠かせなかったオイル、だからこれを切らすのが「油断」、聖書から見ると漢字の世界も納得です。ノアの方舟の時代からオリーブの実が登場しますから、オリーブ油は世界で最も古い食用油のひとつと言えるでしょう。日本の食卓にオリーブオイルが使われるようになったのは1980年代の後半から、それまではサラダオイルと呼ばれる植物製油脂が一般的でした。どちらも植物油ですが、脱色や脱臭、脱ガムなど精製をしなくても実を練って絞れば食べられるのがオリーブオイル、有史以来最も安全で広く使われてきた理由がここにありますね。また旧約にはバターやチーズなどの乳製品も登場します。聖書によっては牛酪、凝乳、などの訳になっていますがこれらはバターやカッテージチーズのことです。エキストラバージンのオリーブオイルにパンを少しひたしてチーズをかじるなんて、粋なイタリアンレストランのようですが、聖書の世界では3000年も前から普段の食卓でした。

画像:写真AC

こんな風にして聖書を読んでいくと段々お腹が空きませんか。

東京バプテスト神学校時代、旧約の教授には「聖書を読む時は、そこに住んでいる人たちの食卓の風景、匂い、会話の中に入っていくように読みなさい。」と教えられました。聖書は机の上のテキスト以上、聖句と共に旅をし、主と共に飲み食いせよ、と教えてくださったこの先生の教えが、今のバイブル的食いしん坊の私を作っているといえますね^_^::。。。

さてチーズとバターとオリーブ油に欠かせないのは主食のパン、こちらも小麦、大麦、ふすま入り、上等な白いパン、イースト菌入りかなしか、平たいのか輪型か、食事系かパン菓子か、色々出てきて楽しいです。パン焼きをチェックしたい方は是非レビ記の2章からお読みくださいね。さぁ、今夜はとっておきのオリーブオイルを用意して、お好きなチーズとパンにちょっと香草でも添えておウチ晩餐会、イエス様と乾杯しませんか。。。

 






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