神さまが共におられる神秘(13)稲川圭三

イエス様を食べて、一緒の向きで生きる

2015年8月16日 年間第20主日
(典礼歴B年に合わせ3年前の説教の再録)
わたしの肉はまことの食べ物、わたしの血はまことの飲み物である
ヨハネ6章51~58節

説 教

ヨハネ福音書の6章を、年間第17主日から第21主日までの5回の日曜日にわたって読み続けています。

最初は、イエスさまが5つのパンと2匹の魚を5000人の人に食べさせると、みんなが満腹し、残ったパン屑(くず)を集めると12の籠がいっぱいになったという出来事でした。そしてその後、その話は少しずつ深まっていきます。イエスさまは、「食べてすぐなくなってしまう食べ物のためではなく、永遠のいのちに至る食べ物のために働きなさい」と群衆に語りかけられます。

今日の福音では、イエスさまはご自分のことを、「わたしは、天から降って来た生きたパンである」と言われます(51節)。イエスさまは5000人の人にパンを食べさせたけれども、本当にイエスさまがなさりたかったことは、ご自分をみんなに食べさせることでした。ヨハネの6章を読み進めるにつれて、次第にそのことが分かってきます。

今日、「人の子の肉を食べ、その血を飲まなければ、あなたたちの内に命はない」(53節)とイエスさまが言われます。イエスさまの肉と血とは、ミサのたびごとに私たちが食べるキリストの体のパンであり、キリストの血であるぶどう酒のことです。また「命」とは「永遠のいのち」のことです。

「永遠のいのち」である神さまは、すべての人と共におられます。なぜなら、神さまは私たちのいのちをお創りになった方だからです。そのお方と一緒の向きで生きることを、聖書では「生きる」といいます。また、「永遠のいのちを持つ」といいます。

しかし、神さまが共にいてくださるだけでは、私たちはそのいのちを受け継ぐことはできません。そのお方と共に生きることを通して、初めてその「永遠のいのち」を受け継ぎます。一緒に生きることが「永遠のいのち」なのです。

そのように父である神さまと一緒に生きておられる方とは、イエスさまです。そして、何とかして私たちも、神さまと一緒に生きる者になってもらいたいと願っておられるのです。

イエスさまはどういうふうに父である神さまと一つになって生きておられたのでしょうか。「父がわたしの内におられ、わたしが父の内にいる」(10:38)とイエスさまはおっしゃっています。

また、今日の福音の中にも書かれています。「生きておられる父がわたしをお遣わしになり、またわたしが父によって生きるように」(6:57)。派遣主である父である神さまが「行きなさい」とイエスさまに言われ、神さまがイエスさまの中で一緒に生きておられる。それが、イエスさまが父である神さまと一緒に生きておられた、ということです。

それに続いて、「わたしを食べる者もわたしによって生きる」とあります。イエスさまのパンを食べる者は、イエスさまによって、イエスさまと一緒の向きで生きるいのちになるのです。これが、ミサの中で食べるパン、「キリストの体を食べる」ということの意味だと教えてくださっているのです。

今日も、聖体をいただく時、「キリストのおん体」と言われ、「アーメン」「はい、そうです」と答えて食べます。すると、イエスさまが一緒の向きで生きてくださり、そして私たちもそのイエスさまと一緒の向きで生きる「いのち」になります。

しかし、「神さまと一緒に生きているのだから」と、鼻が高くなって、人より自分が上になるなら、それは間違いです。そうではなく、一段下がります。そして、出会う人に「あなたは神さまの子どもです」「あなたの中には永遠の神さまがおられます」と伝える者になっていきます。仕える者になるということです。

ここにおられる方の中には、「いつかは自分も洗礼を」と、そしてキリストの体、その聖体のパンにあずかりたいと思っておられる方もあるでしょう。その望みそのものが、もうすでに神さまの奉仕への招きであって、「永遠のいのち」につながれている証拠です。

キリストの体を食べて、キリストと一緒の向きで生きる、神さまと一緒の向きで生きるなら、自分以外のすべての人の中にも同じように、同じ向きで神さまがいてくださることを認め、そのことを人にも告げ、そのことを告げられた人がさらにほかの人たちにも告げるようになることを望んで、働く者になること。それがキリストの「平和」です。

今日もこのミサから派遣されていく先で、いろいろな人にお会いするでしょう。その人一人ひとりに「神さまがあなたと共におられます」「あなたは神さまの子どもです」と告げ、祈る者になっていきますように、恵みと同時に使命をいただいています。

この感謝の祭儀を通して恵みをいただき、それを使って生きる者になりますように、ご一緒に祈りたいと思います。

 






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