牧師も加わった大嘗祭訴訟で公費支出の差し止めは却下 東京地裁

 

2019年の天皇の代替わりに伴う「即位の礼」や皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」などの宗教儀式に国が公費を支出するのは、憲法が定める政教分離の原則に反するとして、昨年12月10日、牧師や僧侶を含む市民団体「即位・大嘗祭違憲訴訟の会」のメンバーら241人が国を相手取り、支出の差し止めと1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は一度も弁論を開かないまま、支出差し止めの訴えを却下する判決を5日付で出した。一方、損害賠償を求める訴訟の審理は続き、25日に第1回口頭弁論が開かれる。

1990年、明仁天皇の大嘗祭の様子(写真:外務省)

原告側は、「国民が納税者としての権利に基づいて支出の差し止めを求められる」と主張したが、朝倉裁判長は、「憲法がそうした権利を保障しているとはいえない」として退け、訴え自体が不適法と判断した。原告側は控訴する方針。原告には日本基督教団牧師の堀江有里氏も加わっている。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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