【米クリスチャニティ・トゥデイ】ブラジルのサッカー、W杯で勝ってもイエスに感謝は禁止

 

(ワールドカップ決勝は15日24時からフランスークロアチアが戦う。ブラジルは7日の準々決勝でベルギーに敗れたが、これまでの本紙W杯記事のまとめとしてお読みください=編集部)

サッカーで国際的に名をはせるブラジルでは、宗教とサッカーとの関係は昔ながらのものだ。ブラジルのアスリートは、十字架や聖人のメダイ、土着の民間信仰カンドンブレの神をほめたたえるリストバンドなどを以前から身に着けてきた。

しかし近年、南アメリカ諸国のスポーツ・シーンでは、キリスト教信仰を(訳注:誇張した身振りなどの)福音派的な表現で表明することがよく見られるようになった。人口の約25%がクリスチャンである国では驚くようなことではないかもしれないが、ブラジルのナショナル・チームは試合前後に祈り、ゴールを決めるとキリスト教的なメッセージの書かれたTシャツを観客に見せて喜ぶ。

今夏、ワールドカップ(W杯)でプレーしているナショナル・チームの選手のうち、少なくとも6人がプロテスタント福音派のクリスチャンと名乗っている。フェルナンジーニョ 、チアゴ・シウバ、アリソン・ベッカー、ダグラス・コスタ 、ウィリアン、そして チームのスター選手、ネイマールだ。

2016年オリンピックで金メダルを獲得した後、「100%イエス」とあるヘッドバンドを示すネイマール(写真:Fernando Frazão/Agência Brasil)

しかし、以前の国際試合とは異なり、ナショナル・チームは現在、フィールド上での喜びを宗教的に表現することは禁止されている。

2018年FIFAワールドカップの直前、ブラジル・サッカー連盟(CBF)は、チーム・メンバーが宗教に関わる表現で喜びを表すことを禁止した。「こうした行動で選手の気が散り、競技に集中できなくなる。また、キリスト教以外の信仰を持つ選手や、特に信仰のない選手にも、特定の信仰を押しつけるものだ」とCBFはその理由を説明している。6月に発表されたこの措置は、サッカー界を率いるFIFAのガイドラインに沿ったもの。2006年のW杯以来、FIFAはフィールドでの宗教的な表現を制限しているのだ。

ブラジル・サッカー界では、選手は伝統的に宗教的な身振りや行動で喜びを表現してきた。1994年のW杯優勝後、クラウディオ・タファレルとジョルジーニョは、「この勝利は、神のみわざでもある」と語った。最後のペナルティ-・キックに失敗した相手チーム、イタリアのロベルト・バッジョを前に、フィールドに恍惚(こうこつ)としてひざまずくタファレルの姿は、仏教に対するキリスト教の優位性を示すものとして利用された。バッジョは仏教徒だったからだ。タファレルの写真は、『Quem Venceu o Tetra?(4回目のW杯優勝を果たしたのは誰か)』と題した本の表紙にも使われた。栄光を神に帰すクリスチャン・アスリートの賛美と感謝の証しが載っている本だ。

しかしながら、この本を評価する意見ばかりではなかった。現役を退いたサッカー選手、マリオ・ザガロは、「スポーツの成功を信仰と結びつける論調は、選手が真摯(しんし)に努力したことの価値を低くする」と批判している。(次ページに続く)

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「クリスチャニティー・トゥデイ」(Christianity Today)は、1956年に伝道者ビリー・グラハムと編集長カール・ヘンリーにより創刊された、クリスチャンのための定期刊行物。96年、ウェブサイトが開設されて記事掲載が始められた。雑誌は今、500万以上のクリスチャン指導者に毎月届けられ、オンラインの購読者は1000万に上る。

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