(前編を読む)
クリスチャンにとって最も危険な国のうち5つが、「サヘル地帯」にある。サヘルとは、サハラ砂漠とアフリカのサバンナの間に水平に広がる半乾燥放牧地帯と農業地帯を指す。
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過激派イスラム反政府グループとテロリストは近年、サヘル地帯で増え広がっている。ムスリムの羊飼いとクリスチャン農民の争いも、結果として暴力に発展する。政府構造が弱体化していると、その危険が高まる。
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アフリカで最大のクリスチャン人口を誇るナイジェリアにはもう後がない。全体の順位では12位だが、暴力のランクでは、パキスタンに次いで2位、信仰が理由で殺害されるクリスチャンの数では1位だ。オープン・ドアーズは2020年のリストで、殉教したナイジェリア人が1350人いると明かした。
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クリスチャンが殺される国
1 ナイジェリア 1350人
2 中央アフリカ共和国 924人
3 スリランカ 200人
4 コンゴ民主共和国 152人
5 南スーダン 100人
6 ブルキナファソ 50人
7 エジプト 23人
8 パキスタン 20人
9 非公開の国 20人
10 コロンビア 16人
(オープン・ドアーズの調査期間:2018年11月~19年10月)
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2. Central African Republic: 924
3. Sri Lanka: 200
4. Democratic Republic of Congo: 152
5. South Sudan: 100
6. Burkina Faso: 50
7. Egypt: 23
8. Pakistan: 20
9. [name withheld]: 20
10. Colombia: 16
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中央アフリカ共和国(全体では25位)は、クリスチャンに対する暴力では4位(クリスチャンが暴力に直面する国トップ10は前編の最後に掲載)。ブルキナファソ(全体28位)は5位。7位のカメルーン(全体リストに48位で初登場した)と9位のマリ共和国(全体29位)は、3位のエジプト(全体16位)や6位のコロンビア(全体41位)、10位のスリランカ(全体30位)とともにトップ10入りした。サヘル地帯のニジェール(全体50位)も5年ぶりにリスト入りした。
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スリランカは、昨年の46位から30位へと、16もランクアップしたが、それは、昨年のイースターの同時多発テロ事件により、カトリック教会とプロテスタント教会、そしてホテルで250人を超す死者が出たからだ。
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しかし、この年いちばん大きく劇的に数を増やしたのはブルキナファソで、トップ50圏外(61位)だった昨年より33も順位を上げた。
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何十ものブルキナファソ人の司祭や牧師が誘拐されたり殺されたりした。また、200以上の教会が閉鎖を強制された。国連は、50万人もの人々が家から強制退去させられたと見積もっている。アフリカ戦略研究センターの報告によると、過激派の襲撃は2017年より4倍になり、暴力による死者が19年には60%増えた。オープン・ドアーズは、その中に50人のクリスチャンを数えている。
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一方、ナイジェリアでは、過激派イスラム教徒によるフラニ族遊牧民へのやり方が、村の襲撃(国際危機グループによれば、彼らの襲撃はボコ・ハラムの6倍ひどい)から誘拐へと変化したため、サヘル地帯だけでなく世界的なクリスチャンの殺害数を下げることとなった。
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この戦術変更により、世界的な殉教者数は前年の4305人から、2020年の報告では2983人まで減った(「毎年10万人が殉教する」としている他の機関と違って、オープン・ドアーズはより慎重な推定をすることで知られている)。
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今年、オープン・ドアーズの報告で新たに加わったジャンルが「クリスチャンの誘拐数」で、世界中で1052人あった。ナイジェリアはそのリストのトップであり、224人。
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さらにナイジェリアは、新しく加わったジャンルの「強制結婚」(世界中の630件のうち130件)、「襲われたクリスチャンの家庭数」(3315件のうち1500件)、「略奪されたクリスチャンの店」(1979件のうち1000件)でも首位になった。
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新たに加わった別のジャンルは、再びアジアに目を向けさせる。
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「クリスチャンがレイプやセクシャル・ハラスメントを受ける国」の上位7カ国のうち4カ国が、アラブ半島で移民労働者を受け入れている国だ。サウジアラビア(13位)、カタール(27位)、クウェート(43位)、アラブ首長国連邦(47位)で、ナイジェリアは8位だった。世界では8537件あったとされるが、オープン・ドアーズは「これは氷山の一角にすぎない」と警告する。多くの事件が人目につかない場所で行われ、報告されることもないからだ。
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インドは、「殴打や殺害予告を含む肉体的・精神的虐待」という新たなジャンルで1位になった。インド半島で過激派ヒンズー至上主義が増加し、世界で1万4645件報告されたうちの1445件を占めた。
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オープン・ドアーズの二つのジャンルで、中国は違反者のボスだ。
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北京では、無実のクリスチャン1147人が信仰のゆえに投獄されたり拘束されたりしている。世界では合計3711人で、これは去年の3150人より増えている。
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教会が襲撃され、閉鎖された国
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1 中国 5576件
2 アンゴラ 2000件
3 ルワンダ 700件
4 ミャンマー 204件
5 ナイジェリア 150件
6 エチオピア 124件
7 ブルンジ共和国 100件
8 マリ共和国 100件
9 パキスタン 58件
10 ブルキナファソ 50件
(オープン・ドアーズの調査期間:2018年11月~19年10月)
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2. Angola: 2,000
3. Rwanda: 700
4. Myanmar: 204
5. Nigeria: 150
6. Ethiopia: 124
7. Burundi: 100
8. Mali: 100
9. Pakistan: 58
10. Burkina Faso: 50
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しかし、襲撃され、閉鎖を強制された教会の数は、1847件から9488件へと一気に増加した。このうち中国は5576件を占める。
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アンゴラは2位で2000件、ルワンダは3位で700件(どちらも総合でトップ50には入っていない。アンゴラ68位、ルワンダ71位)。
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「いくつかの国家では、先に挙げたような暴力行為を正しく把握することが難しい」とオープン・ドアーズは警告する。
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ドイツに本部を置き、世界福音同盟(WEA)の後援を受けている国際信教の自由研究所によって、オープン・ドアーズの調査は認定と監査がされている。
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オープン・ドアーズは、中東で小さな変化を見つけた。5人のクリスチャンのうち4人が高レベルの迫害を受けているという。これは、シリア(11位)とイラク(15位)でクリスチャン数が減少している主な理由だ。
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シリアでは、2011年に内戦が起きた時から75%もクリスチャン人口が減り、2200万人から74万4000人になった。イラクは、2003年の湾岸戦争からクリスチャン人口が87%減り、1500万人から20万2000人になった。
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オープン・ドアーズは、「世界で最も激しい迫害にあっている宗教がキリスト教だと言える」という。同時に、「世界のムスリム人口と比べる資料がない」とも。
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世界のすべての国が調査員と現場スタッフによって監視されているが、詳細な監視は100カ国に限られ、さらに高いレベルでの迫害(オープン・ドアーズの100ポイント満点の基準で40ポイント以上)が記録されている73カ国には特別な注意が払われている。
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2020年のウォッチ・リストで唯一良い知らせがあるとすれば、それはエチオピア(39位)だ。高レベルの迫害にあっているクリスチャンの世界総計から2500万人減った。宗派間の争いが増えたにもかかわらず、ノーベル賞を受賞した福音派の首相(アビー・アハメド)が平和と改革を試みる中で、「アフリカの角」にあるその国は28位から39位へと順位を下げた。
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オープン・ドアーズはまた、パキスタンのアーシア・ビビ事件を前向きに捉えた。パキスタン最高裁から冒涜(ぼうとく)罪で死刑判決を受けた、5人の子どもを持つクリスチャン女性が、2019年5月にカナダへ移民することを許されたのだ。彼女は9年間、刑務所に入れられていた。
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「迫害に苦しむクリスチャンは統計には記録できません」とオープン・ドアーズは言う。「何百万もの人がこの数字の裏にいるからです。それぞれにそれぞれの物語があります。そこには深い苦しみ、そして同時に勇気と強い信仰があるのです」
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執筆:ジェイソン・キャスパー
本記事は「クリスチャニティー・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。翻訳にあたって、多少の省略をしています。
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