米最高裁 半世紀ぶり判例覆し、中絶の権利認めず

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米連邦最高裁は6月24日、人工妊娠中絶を「憲法上の権利」と認めた1973年の判例を覆す判断を下した。半世紀にわたり保護されてきた女性の権利を否定する判決は、米社会に大きな衝撃を与えそうだ。ワシントン発「時事通信」によって紹介する。

訴訟では、妊娠15週以降の中絶を禁止する南部ミシシッピ州の州法の合憲性が争われていた。73年の「ロー対ウェイド判決」について最高裁は「憲法は中絶の権利を与えていない」と断言。「中絶を規制する権限は国民と国民に選ばれた議員に戻される」と指摘した。

司法の最終判断により、今後中絶を認めるか否かは各州に委ねられることになる。

共和党支持者の中でも特に、キリスト教福音派を筆頭とする伝統的な宗教観を持つ層にとっては中絶は胎児の命を奪う「殺人行為」。最高裁による中絶の権利無効化は長年の悲願だった。判事構成の変化に連動するように、共和党主導の保守的な州はここ数年、中絶を制限する法整備を着々と進めてきた。

米公共ラジオ(NPR)などが5月に行った世論調査では、64%が中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を「覆すべきでない」と答えた。しかし回答を支持政党別に見ると、民主党支持層では93%なのに対し、共和党支持層はわずか34%にすぎない。

中絶は、米国内で女性の自己決定権を重視する支持派と、胎児の生命を重んじる反対派が長年にわたって激しく対立してきた。女性の選択の自由を支持するバイデン政権は中絶の権利の法制化を目指しており、11月の中間選挙で争点化する構えだ。(CJC)

 

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