エリザベス英女王死去 英国国教会の最高権威者であり信仰の擁護者 人生の全てを国民に捧げた生涯

英国の女王エリザベス2世が8日、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。英国と英連邦の君主として、また、英国国教会の最高権威者として70年にわたって在位した。新国王には、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)がただちに即位し、「チャールズ3世」の称号で呼ばれることになる。

エリザベス女王は、13歳のときに、伯父のエドワード8世が離婚経験のあるアメリカ人のウォリス・シンプソン氏との「王冠を賭けた恋」で退位したことにより、推定王位相続人となり、未来の女王となる運命を背負った。21歳の誕生日には、ケープタウンからイギリス領全土に向けて「全生涯を皆さんのために捧げます」と演説し、のちにこの誓いは、エリザベス女王の公務に対する奉仕の姿勢を象徴する言葉となった。

Elizabeth II, Queen of Australia, wearing the Sovereign Badge of the Order of Australia. (1 April 2009 、Department of Immigration and Border Protection)

1952年に父親のジョージ6世の死去を受け25歳で即位。翌年にウェストミンスター寺院で執り行われた戴冠式は全世界にテレビ中継された。第二次世界大戦期と現代の最後のつながりであったエリザベス女王は、王室費の総額抑制を提案し、バッキンガム宮殿を一般開放するなど、国民に近づく努力を重ねてきた。英国王室のスキャンダルにたびたび見舞われながらも、献身的な姿勢で国民の高い人気を維持し、英国の顔であり続けた。

毎年クリスマスに放送される女王のメッセージは、英国の風物詩の一つだった。英国のEU離脱を巡って英国議会が紛糾していた2018年には、「何年もの間、さまざまな変化を見てきましたが、私にとって信仰と家族と友情は、ただ不変のよりどころというだけでなく、個人的な安らぎと安心の源でした」と、女王は自らのキリスト教への強い信仰心を強調。また、コロナ禍の中迎えた21年には、同年4月に亡くなった夫エディンバラ公フィリップ殿下を追悼し、「愛する人を失った人間にとって、クリスマスはつらい時にもなり得ます。それがどうしてなのか、今年の私は特によく分かります」と述べ、新型コロナウイルスの感染拡大で家族を亡くした人々の気持ちに寄り添った。

地元メディアによると、エリザベス女王の死去を受け、ロンドンのバッキンガム宮殿では半旗が掲げられているほか、国内外から悲しみの声が相次いでいる。葬儀は10日後にウエストミンスター寺院で行われる見通し。

 






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