【米クリスチャニティ・トゥデイ】全米最速で成長する教会になるには?──スタートアップ企業のように考えよ

クロスローズでは、同教会が「現代文化に即したコミュニケーション」と呼ぶエッジの効いた話し言葉が使われる。クロスローズはそのマニフェストの中で「隠しごとはありえない」として、誠実で公正であることを大切にすると宣言している。同教会は、聖書的に真実か否かということには重きを置くが、教会員の身なりや話し方などには干渉しない。クロスローズでは毎週末、リーダーたちをステージに上げて話をさせる「ビール・テスト」を行う。これは、リーダーが一緒に飲みに行きたくなるくらい親しみやすいかどうかのテストだ。

時期は不明なものの、米国の教会は間もなく、過去数十年間にクリスチャンが親しんできた教会とはがらりと様相を異にすることになると、トーム師は予想している。

これから来る変化に乗り遅れないよう、クロスローズは2人のマーケット・リサーチャーをフルタイムで雇用しているほか、研究開発部門のようなものも擁している。企業の先進開発部門からその名を借りた「スカンクワークス」チームは、自律的かつ極秘に活動することも多い、先進的な技術やアイデアを開発する部門だ。クロスローズは、多数の若いクリスチャン企業家で構成される同チームを信頼し、未来のためのアイデア構築を任せている。

このハイテク・チームは未知の領域に分け入ることが期待されており、たとえば今、伝道や礼拝にAIを使う方法を探している。「このチームの務めは、この教会を廃業できるような方策を探すこと。罪を犯さずにこれを行う方法を、競い合って探しています」とトーム師は語る。

こうした攻勢のかけ方は、クロスローズが惹きつける若手プロフェッショナル層に対して成果を上げている。クロスローズのブランディングとマーケティングは、25-35歳の成人、特に男性の求道者がターゲット。この年齢層の男性が信者になれば、その後、結婚したり家庭を築いたりしたとき、家族も教会に来ることが想定されるからだ。

クロスローズの全キャンパスのウェブサイトで最近行われたウェブ・アンケートの結果によれば、同教会の代表的な年齢層は30-39歳で、全体の25%を占める。この数字は、米国のメガチャーチに属する教会員の平均年齢が約40歳、対して、より規模の小さな教会の平均年齢は53歳であるとする別の調査結果とも合致する。

クロスローズはまた、「アンポリッシュト(未洗練)」と呼ばれる事業会議を導入した。これは、企業が用いる人口統計学的な手法を実践的なかたちに落とし込んだものだ。

数年前のこと、トーム師は仕事で知り合ったビジネス関係者に「若い企業家たちが霊的に苦しんでいる」と聞き、あることに気づいた。礼拝以外の教会活動として、クロスローズは貧困問題に取り組んでいた。「神の国の下流にある問題に取り組むことは大切です。しかし、そうした問題が生じる根本の原因は、上流の問題なのです」とトーム師。師が目指したのは、与えるだけの支援ではなく、人々が自ら稼ぐことを奨励する方向へと戦略を転換することだった。

最近、「アンポリッシュト」は「オーシャン・アクセラレーター」に引き継がれた。オーシャン・アクセラレーターは、独立した、米国内で唯一のキリスト教を基盤としたビジネス・アクセラレーターだ。2015年にクロスローズの教会員が創立し、以前はクロスローズの所有する建物に本社を置き、同教会から資金援助も受けていた。

ブルームバーグのミャー・フラジエ記者による昨春のクロスローズ評は次のようなものだ。「クロスローズにとって、シリコンバレー的な福音を取り入れることは、単に金銭の話ではありません。オーシャン・アクセラレーターは、雇用不安と若者の教会離れという、現代社会で増加する二つの問題の解決を目指しています」

オーシャン・アクセラレーターが提供するアクセラレーター・プログラムは、テクノロジー企業向けの5カ月間のプログラムで、企業家を財務と霊的な両面で成長させることを目的とするもの。参加する個々の企業は、メンタリングのほか、法務、会計、人事、マーケティングの各専門分野のプロボノ支援、さらには5万ドルのシード投資を受ける。年間12企業が選ばれ、これまでに26企業がプログラムを終えた。

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