小塩海平著 BC級戦犯にされたキリスト者(豊川慎)【本のひろば.com】

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評者: 豊川慎

「誰が裁かれるべきなのか」―教会の戦争責任再考
〈評者〉豊川 慎


BC級戦犯にされたキリスト者
中田善秋と宣撫工作

小塩海平著
四六判・104頁・定価1100円・いのちのことば社
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小塩海平氏(東京農業大学教授、日本キリスト教会東京告白教会長老)による本書は、かの戦争において宗教宣撫班員としてフィリピンに送られ、その後BC級戦犯として裁かれた中田善秋というキリスト者の前半生を、特に彼の戦争経験とその経験の内省を綴った手記などに注目して論じることにより、日本のキリスト教会の戦争責任問題の再考を読者に促す書であると言えよう。
本書は全5章から構成される。第1章「中田善秋とは誰か」において、著者は中田の出生から応召までを論じる。1941年、当時日本神学校の神学生であった中田は日本基督教団教師11名とともに陸軍軍属の宗教宣撫班員としてフィリピンに派遣された。米国によるフィリピン統治を一掃して「大東亜共栄圏」にフィリピンを組み込むという日本軍によるフィリピン占領の目的遂行に際し、大小数百を超えるフィリピンのプロテスタント教会を一つにまとめて合同教会を作り、アメリカの宣教母体からフィリピンのプロテスタント教会を独立させ、日本軍に協力的な教会を形成するための宗教宣撫工作が必要と考えられたのであった。

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